こんにちは。「とやまリサーチャー」です。
今回は、富山を代表する伝統行事「おわら風の盆」をご紹介します。
静寂の中に響く胡弓(こきゅう)の音、月明かりに浮かぶ踊り手の姿……。
一度見たら心に残る“哀愁”の祭りです。
【富山の祭り】越中八尾町の「おわら風の盆」―300年の歴史がある唄と踊り
「おわら風の盆」は、富山市八尾(やつお)地域で毎年9月1日から3日にかけて開催される伝統行事です。
その起源は約300年前、江戸時代中期までさかのぼります。五穀豊穣や豊年祈願を込めた盆踊りが、現在の「風の盆」の原型となったといわれています。
“風の盆”という名前は、稲を倒す台風の「風」を鎮める意味を持つとも。
夏の終わり、夜風に揺れるぼんぼりの灯りとともに、どこか切ない胡弓の音が町を包み込みます。


実際に現地で見ると、観光地の賑わいというより、まるで“時間がゆっくりと逆戻りする”ような感覚になります。祭りでありながら、静けさが印象的な珍しい行事です。
【富山の祭り】越中八尾町の「おわら風の盆」―屈指の難曲「越中おわら節」
おわら風の盆で唄われる「越中おわら節」は、日本でも屈指の“難曲”として知られています。
歌い出しの「唄い手が三味線に合わせてゆったりと調子を取る」その一声に、観客は一気に引き込まれます。
哀調を帯びた旋律に、胡弓が加わることで生まれる深い情感。
踊り手たちは編笠を深くかぶり、顔を見せないまま、しなやかで品のある所作を見せます。
まるで“人の心の奥”を表すような踊り。言葉で説明するよりも、見る人の心に直接響く美しさがあります。
余談ですが、私が初めてこの踊りを見たとき、「静かな情熱」という言葉が浮かびました。
派手さよりも、心の奥にそっと残る――そんな祭りなのです。
【富山の祭り】越中八尾町の「おわら風の盆」―昔の面影を残す町並み
おわら風の盆が行われる八尾の町並みは、石畳の坂道と格子戸の家々が並ぶ、まるで時代絵巻のような情緒があります。

この町並みが、祭りの雰囲気をより一層引き立てているのです。
特に「諏訪町通り」は、八尾の中でも最も情緒ある通り。
夜になると家々の軒先にぼんぼりが灯り、踊り子たちが静かに舞い歩く姿が幻想的です。
観光客の中には、わざわざ浴衣を着て観覧する方も多く、まるで江戸時代の風情をそのまま体験しているよう。
この景観は、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。
古き良き日本の町並みを歩きながら、風の音と胡弓の響きに耳を傾ける――それこそが、八尾ならではの贅沢な時間です。
【富山の祭り】越中八尾町の「おわら風の盆」アクセス&詳細情報
- 開催日:毎年9月1日~3日
- 会場:富山県富山市八尾町中心部
- アクセス:JR高山本線「越中八尾駅」下車後、徒歩約15分
富山駅から臨時バス「おわらシャトル」運行(約30分)
※期間中は車の乗り入れ規制があり、臨時駐車場からのシャトルバス利用が便利です。
※夜の部は特に混雑するため、夕方までに現地入りするのがおすすめ。 - 町流し(各町内を踊りながら練り歩く)
- 輪踊り(観客も一緒に参加できる)
- ステージ演舞(有料席あり)
お祭り期間以外でも楽しめる八尾の魅力
「おわら風の盆」の期間以外でも、八尾の町には見どころがたくさんあります。
たとえば、**越中八尾観光会館「曳山展示館」**では、春に行われる「越中八尾曳山祭り」で実際に使われる豪華な曳山(ひきやま)が常設展示されています。
この曳山祭りは毎年5月3日に開催され、太鼓や笛の音が響く華やかな春の行事として、地元の人々に親しまれています。
また、すぐ近くにある八尾おわら資料館では、「風の盆」の歴史や踊り、衣装、楽器などを詳しく紹介しています。
館内では胡弓の音色が流れ、実際の踊り映像を見ながら「おわら文化」にふれることができます。
お祭り当日では味わえない静かな雰囲気の中で、深く学べるスポットです。
さらに、八尾の町は「おわら風の盆」が生まれた風情ある街並みがそのまま残っています。
石畳の坂道を歩きながら、格子戸の家々や土蔵造りの町屋を眺めると、どこか懐かしい気持ちに。
昼間の八尾は人通りも少なく、静かな散策が楽しめます。
“祭りの余韻”を感じながら歩くのも、八尾ならではの贅沢な時間です。
このように、八尾の町は「風の盆」だけでなく、四季を通して伝統と文化にふれられる場所です。
訪れる時期によって、哀愁と賑わい、どちらの表情も楽しめるのが魅力ですね。
|関連サイト
・【公式】おわら風の盆行行事運営委員会:https://owara-gyoujiunei.com/
・曳山展示館|富山市公式ウェブサイト:https://www.city.toyama.lg.jp/shisei/shisetsu/1011072/1011076/1005746.html
・八尾おわら資料館|富山市公式ウェブサイト:https://www.city.toyama.lg.jp/shisei/shisetsu/1011072/1011076/1005775.html
まとめ|【富山の祭り】越中八尾町の「おわら風の盆」―哀愁ある胡弓の音色に唄と踊り
「おわら風の盆」は、単なる観光イベントではなく、八尾の人々が長い年月をかけて守り続けてきた“心の祭り”です。
派手な花火も、賑やかな屋台もありません。けれど、胡弓の音が響いた瞬間、町全体がひとつの物語になる――そんな特別な空気があります。
秋の始まり、静かな夜風の中で聴くおわら節は、まるで心の奥に語りかけるよう。
ぜひ一度、実際に足を運んでその「静かな感動」を体験してみてください。
|参考小説
・高橋修:「風の盆恋歌」新潮社
・北原正行:「風の盆 波残の笠」文芸社
・豊田美加:「燈火 風の盆」小学館

