【富山の国宝】高岡市の禅寺「瑞龍寺」―加賀藩2代藩主前田利長の菩提寺

こんにちは、「とやまリサーチャー」です。

今回は、富山県が誇る国宝建築「瑞龍寺(ずいりゅうじ)」を訪ねました。
加賀藩2代藩主・前田利長の菩提寺として知られ、禅宗建築の美を今に伝える名刹(めいさつ)です。
静寂に包まれた伽藍(がらん)を歩いていると、まるで時が止まったかのような感覚に包まれます。

禅寺の伽藍としては珍しく平野部に建築された寺院です。

目次

【富山の国宝】禅の息づく場所―富山県高岡市

富山県高岡市は、加賀百万石の栄華を今に伝える歴史の街。

その中でも「瑞龍寺」は、まさに“禅の息づく聖地”といえます。
寺のある場所は、高岡駅から徒歩10分ほどの便利な立地。

しかし、門をくぐった瞬間、そこに広がるのはまるで別世界。
整然とした白砂の庭、木々のざわめき、そして遠くに響く鐘の音…。
忙しい日常から少し離れて、心を整えるにはぴったりの場所です。

余談ですが、私は初めて訪れたとき、境内に漂うお香のかおりと秋の風がとても印象的で、思わず深呼吸をしてしまいました。余計な装飾を省いた美しいお寺です。

【富山の国宝】曹洞宗瑞龍寺―国宝の「山門・仏殿・法堂」

瑞龍寺は、曹洞宗(そうとうしゅう)の名刹で、その中心をなす「山門・仏殿・法堂(はっとう)」の三棟が国宝に指定されています。

これら三つの建物は一直線に並び、禅宗寺院特有の厳かな伽藍(がらん)構成を見せています。
正面から山門をくぐり、仏殿、そして奥の法堂へと続く配置は、「修行の道」を象徴しているともいわれます。

山門―禅の世界へと導く荘厳な門

「山門」 写真提供:(公社)とやま観光推進機構

「山門(さんもん)」は、瑞龍寺の顔ともいえる建物で、江戸初期の禅宗建築の粋を集めた、重厚で美しい二重門(にじゅうもん)です。
その高さ約22メートル、堂々たる姿は圧巻で、見る者を一瞬で静寂の世界へと引き込みます。
屋根は銅板葺きの入母屋造(いりもやづくり)で、上層の軒下には複雑で力強い斗栱(ときょう)が支えています。

細部まで精巧に組まれた木組みからは、当時の宮大工の技術と信仰の深さが感じられます。
山門の上層部には十六羅漢像(じゅうろくらかんぞう)が安置され、仏の教えを守り伝える存在として、静かに訪問者を見守っています。

山門をくぐるとき、多くの人が何か空気が変わるような感覚になるのは、ここが“禅の結界”だから、なのかもしれません。

静寂の中にある力強さ――これこそが瑞龍寺の山門の魅力だと思います。

仏殿―瑞龍寺の中心に立つ荘厳な建築

「仏殿」 写真提供:(公社)とやま観光推進機構

「仏殿(ぶつでん)」は、三棟の中でも中心に位置する建物で、禅宗寺院の精神的な中心を担います。

重厚な入母屋造(いりもやづくり)の屋根と、整然とした木組みが見事で、外観は一見質素ながら、近づくほどにその緻密さと迫力に圧倒されます。

内部には釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)が安置され、法要の際にはその前で僧侶が読経を行います。

本尊 釈迦牟尼仏

仏殿の四方から差し込む光が仏像を柔らかく照らす様子は、訪れる人の心を自然と穏やかにしてくれる空間です。

法堂―説法と教えの場

「法堂」 写真提供:(公社)とやま観光推進機構

「法堂(はっとう)」は、僧侶が説法を行うための場所で、瑞龍寺の最も奥に位置しています。

この法堂の天井には、迫力ある「雲龍図(うんりゅうず)」が描かれています。
龍は、どの方向から見ても目が合うように描かれており、見る人の心を見透かすような存在感を放っています。

法堂内部の柱や梁には一切の装飾がなく、木の質感と光の陰影だけで空間が構成されています。
この「簡素の美」は、まさに禅宗建築の神髄といえるでしょう。

国宝というと少し堅い印象を持つ方もいるかもしれませんが、瑞龍寺の建築は、荘厳さの中にどこか人の温もりを感じさせます。

山門から法堂までの直線の参道をゆっくり歩いてみると、自然と呼吸が整い、心が落ち着いていく――そんな体験ができます。
この“静けさの美”こそが、瑞龍寺が今も多くの人を惹きつける理由なのだと思います。

【富山の国宝】曹洞宗瑞龍寺―国指定重要文化財「総門・禅堂・大茶堂・高廊下・回廊(北、南東、南西)」

瑞龍寺には、国宝に指定された「山門・仏殿・法堂」のほかにも、重要文化財に指定されている建築群が数多く残されています。

それが、「総門」「禅堂」「大茶堂」「高廊下」そして「回廊(北・南東・南西)」です。
これらの建物は、単に補助的な施設ではなく、禅寺の生活や修行の中心を担ってきた空間であり、瑞龍寺の全体構成を理解するうえで欠かせない存在です。

総門―禅の世界への入口

「総門」 写真提供:(公社)とやま観光推進機構

「総門(そうもん)」は、瑞龍寺の最も外側に位置する門で、参拝者が“俗世から仏の世界へ”足を踏み入れる象徴的な建築です。

簡素ながらも力強い木組みが印象的で、禅宗特有の「無駄を削ぎ落とした美」が感じられます。

余談ですが、晴れた日の午前中にこの門をくぐると、正面に見える「山門」までの一直線の参道が光に包まれ、まるで時代絵巻のような景色になります。
写真を撮るならこの時間帯が一番おすすめです。

禅堂―修行僧の心を鍛える場所

「禅堂(ぜんどう)」は、僧侶たちが坐禅を行う場所で、静寂の中に緊張感が漂う神聖な空間です。

「坐禅堂(僧堂)」
「坐禅」

内部は極めて簡素で、木の香りと畳の感触が心を落ち着かせてくれます。
ここでは“何もないこと”そのものが修行であり、まさに禅の精神が息づく建物といえるでしょう。

大茶堂―静寂の中に息づく交流の場

右奥の建物が「大茶堂」

法要や儀式、来客をもてなす際に使われた建物で、瑞龍寺の中でも“交流と静寂が共存する空間”といわれています。

禅寺というと厳しい修行のイメージが先行しがちですが、この茶堂は人と人が穏やかに語り合う「和」の象徴でもあります。

高廊下―伽藍をつなぐ“風の通り道”

高廊下

「高廊下(たかろうか)」は、
主要な建物を結ぶ長い渡り廊下で、全長はなんと約60メートル。
柱や梁の木目が美しく、歩くたびに木がきしむ音が静けさを際立たせます。

雨の日でもこの廊下を通れば濡れずに伽藍を巡れるよう設計されており、実用性と美しさを兼ね備えた建築の妙が感じられます。

回廊(北・南東・南西)―禅寺の美を形づくる線の建築

伽藍を取り囲む「回廊」

瑞龍寺の境内を取り囲むように巡る「回廊(かいろう)」は、北・南東・南西の三方向に伸び、伽藍全体を優しく包み込んでいます。

この回廊があることで、瑞龍寺の建築群はひとつの“完結した世界”として成り立っており、まさに禅宗建築の完成形ともいえる構造です。

特に、雨上がりの回廊を歩くと、濡れた木の香りと土の匂いが混ざり合い、まるで自然そのものが息づいているように感じられます。
この体験は、写真だけでは伝わらない“現地でしか味わえない魅力”ですね。

瑞龍寺の重要文化財群は、単なる歴史遺産ではなく、400年の時を経てなお生き続ける“禅の建築”そのものです。
一つ一つの建物に職人の息遣いが残り、訪れるたびに新しい発見があります。

【富山の国宝】曹洞宗瑞龍寺建立の歴史

瑞龍寺は、加賀藩2代藩主・前田利長(まえだとしなが)の菩提寺として建立されました。
利長は高岡城を築き、この地の発展に大きく貢献した人物です。

寺の創建は江戸初期の1659年(万治2年)。
利長公の死後、三代藩主・前田利常がその遺徳を偲び、加賀藩の威信をかけて建立したと伝わります。

当時の建築技術の粋を集めたこの伽藍は、400年近く経った今もなお、当時の姿を美しく残しています。

この「時を超えて残る美」というのが、瑞龍寺最大の魅力だと思います。

前田利長の墓所

「瑞龍寺」のアクセス&詳細情報

  • 所在地:富山県高岡市関本町35
  • アクセス:JR高岡駅南口から徒歩約10分
         あいの風とやま鉄道「高岡駅」からも徒歩圏内
         北陸自動車道「高岡IC」から車で約15分
  • 拝観時間:9:00~16:30(冬季は~16:00)
  • 拝観料:大人500円/中高生200円/小学生無料
  • 駐車場:あり(無料)

※境内は四季折々の風情を楽しめますが、特に春の桜と秋の紅葉はおすすめです。
風に揺れる桜越しに見る山門は、まるで絵巻物の一場面のようです。

「瑞龍寺」周辺の観光スポット―高岡大仏・金屋町

瑞龍寺を訪れたら、ぜひ周辺の観光も楽しみましょう。

まずおすすめなのが「高岡大仏」
奈良・鎌倉と並んで“日本三大仏”の一つと称される高さ約16メートルの青銅仏です。
大仏さまの穏やかな表情を見ていると、自然と心が落ち着きます。

もう一つの見どころは「金屋町(かなやまち)」
加賀藩時代から続く銅器の町で、石畳の通りと格子造りの家並みが美しい。
職人さんの工房をのぞいたり、銅製の小物をお土産に選んだりするのも楽しいですよ。

瑞龍寺からは車で5分ほどの距離なので、半日観光にもぴったりです。

まとめ|【富山の国宝】高岡市の禅宗寺院!加賀藩2代藩主前田利長の菩提寺「瑞龍寺」

富山県高岡市にある瑞龍寺は、加賀藩の歴史と禅の精神が今も息づく、まさに「静寂の国宝」。

山門をくぐると、日常の喧騒が遠のき、“心を整える時間”が自然と流れ始めます。

前田家の美意識と、禅の思想が融合したこの寺院は、建築としても文化としても、一度は訪れる価値のある場所です。

歴史を感じたい方も、心を落ち着けたい方も――
瑞龍寺で、少し立ち止まってみませんか?

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