【白鳥飛来】富山県氷見の「十二町潟水郷公園」―大伴家持の万葉の世界

こんにちは。「とやまリサーチャー」です。

今回は、富山県氷見市にあり、平安時代から続く水郷の原風景を今に伝える「十二町潟水郷公園(じゅうにちょうがた すいごうこうえん)」をご紹介します。

静かな水面に映る空、季節ごとに飛び交う野鳥、そして冬には白鳥が舞い降りてくる…そんな、時間の流れがふっとゆるむような場所です。観光地としての派手さはありませんが、だからこそ残っている“昔のままの風景”があり、訪れるたびに心が落ち着きます。

特に冬のオオハクチョウは圧巻で、田んぼの水面に浮かぶ白い群れを眺めていると、「家持も同じ景色を見ていたのでは…」とつい想像してしまいます。

この記事では、現地を歩いた感覚や歴史的背景を交えながら、この水郷地帯の魅力を深掘りしていきます。

目次

【平安時代の水郷風景】万葉歌人・大伴家持の舟遊び

氷見の十二町潟周辺は、万葉歌人 大伴家持(おおとものやかもち) が越中国司として赴任していた時代に、たびたび舟を浮かべて歌を詠んだと伝わる地です。

万葉集には、家持が越中の自然を題材に詠んだ歌が数多く収められていますが、特に水辺を描く表現は鮮やかで、読んでいると「越中の自然そのものが彼の感性を育てたのだな」と感じさせます。

その中でも有名なのが、この地を詠んだ長歌「布勢(ふせ)の水海に遊覧する賦」。江戸時代に干拓されるまでは湖が広がっていたようで、家持は舟遊びを楽しんだと言われています。

十二町潟水郷公園 アド小屋と十二町潟横断橋

十二町潟周辺は古くから水郷地帯として知られ、湿地や湖沼が入り組む景観は、現代でもどこか古代の面影を残しています。

実際に歩いてみると、風に揺れるヨシ原や夕暮れの水鏡に映る空の色が美しく、家持の歌心が育まれた理由がなんとなく分かる気がします。

氷見というと「氷見ブリ」が真っ先に浮かびますが、万葉の時代にはこの豊かな水辺が“文化の舞台”でもあったと思うと、散策もぐっと味わい深くなります。

【漁村文化】仕掛け網の漁法―伝統を伝える「アド小屋」

十二町潟周辺には、かつて使われていた 「アド網(仕掛け網)」 の漁法が受け継がれてきました。

魚が入りやすく、出にくい構造の網を張り、自然に入り込んだ魚を捕るという昔ながらの漁法で、人々の生活の知恵が詰まっています。

アド網(仕掛け網)

公園内には、昭和初期まで実際に使われていた「アド小屋」が復元されています。網を沈め、時期を見ながら引き揚げて魚を捕っていた場所で、氷見の漁村文化を今に伝える貴重な資料です。

アド小屋
十二町潟横断橋(アド網をイメージした歩行者専用橋)

初めてアド小屋を見たとき、「素朴な小屋の中にも生活の歴史が詰まっているんだな」と感じました。観光施設というより、地域の人々の暮らしをそのまま閉じ込めた“記憶の倉庫”のような雰囲気です。

十二町潟水郷

氷見=海の漁業という印象が強いですが、内陸の水郷地帯にも、しっかりと漁の歴史が根付いています。

【野鳥の楽園】布施に飛来するオオハクチョウ

十二町潟水郷公園とあわせて訪れたいのが、氷見市布施地区。ここは オオハクチョウ(白鳥) の飛来地として知られ、毎年11月頃からシベリアから多くの白鳥が訪れます。

布施地区に飛来したオオハクチョウ

白鳥の「キィー」という鳴き声が空に響き渡ると、氷見に冬が来たことを実感します。
訪れた日は、田んぼに張られた水面で羽を休める白鳥の群れが夕日に染まり、その光景は息をのむほど美しかったです。

ここは観光地というより野鳥の生活圏。そっとお邪魔させてもらう気持ちで訪れるのが、この場所を楽しむコツかもしれません。

冬に氷見を訪れたら、ぜひ白鳥観察も旅の予定に入れてみてください。写真が好きな方には特におすすめです。

【オニバス】日本で珍しいオニバスの生息地

十二町潟のもう一つの魅力が、日本でも珍しい 「オニバス」 の自生地であることです。

オニバスはスイレン科の植物で、直径1m近い大きな円形の葉を水面に浮かべます。葉にトゲがあることから「鬼蓮(オニバス)」と呼ばれ、氷見はその北限とされる貴重な群生地です。

夏に訪れると、水面を覆う巨大な葉が広がり、まるで古代の湿地帯のような光景に。紫色の花がひっそり咲く姿も愛らしく、思わずカメラを向けたくなります。

十二町潟は冬の白鳥が有名ですが、夏のオニバスも知ってほしい魅力のひとつ。季節によってまったく違う表情を見せてくれる公園です。

【アクセス&詳細情報】十二町潟水郷公園

  • 所在地:富山県氷見市十二町・布施周辺
        (公園全体が広い水郷地帯に点在)
  • アクセス:JR氷見線「氷見駅」から車で約10〜15分
         能越自動車道「氷見IC」から車で約10分
  • 駐車場:あり(無料)

・アド小屋(仕掛け網の展示)
・オニバス群生地
・白鳥飛来エリア(布施地区)
・ヨシ原の遊歩道
・十二町潟横断橋

・白鳥の観察:11〜3月
・オニバス:7〜8月
・散策:春〜秋

観光施設というより自然公園のため、売店や大きな案内施設はありません。その分、静かに自然と向き合える環境が魅力です。

まとめ|【白鳥飛来】氷見の「十二町潟水郷公園」

十二町潟水郷公園は、

  • 万葉歌人・大伴家持が愛した水郷の風景
  • アド網が伝える氷見の生活文化
  • 冬には白鳥が舞い降りる野鳥の楽園
  • 夏には希少なオニバスが咲く湿地帯

——歴史・文化・自然が一度に味わえる場所です。

派手な観光スポットではありませんが、静かに自然に身を委ねたいとき、心をリセットしてくれるような時間が流れています。

近くにはフルーツ農家が営むスイーツ店や、果物狩りが楽しめる施設もあります。

39フルーツパークのパフェ

39フルーツパーク:https://sankyu-k.com/fruits/index.html

「氷見は海の町」というイメージを持っている方にこそ、この水郷地帯をおすすめします。きっと氷見の新しい一面に出会えるはずです。

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